
神降地にて、静かに還る。
──神降地にて、静かに還る
この日の記憶はわたしにとっての
“はじまりの一雫”だったのかもしれない。

朝4時に目覚め、始発のバスに揺られて
ずっと訪れてみたかった上高地へと向かった。
曇り空の下、大正池から、ひとり静かに歩きはじめる
一歩一歩、自分の“息”を感じながら。
すると、知らず知らず背負っていたものが
すこしずつ、すーっと流れていくような感覚に。
ほどよい疲れを感じながら、
今回の目的地___穂高神社 奥宮へ。

その途中、突然の小さな雨が降りはじめる
それはまるで、わたしの心身を清めてくれるような、やさしい祈りの水のよう。
そして鳥居をくぐると、今度は、陽の光がお出迎えしてくれた。
「あぁ、きっと、今日は呼ばれたんだね」
目の前に広がる静かな美しい景色をただ眺めていると
自分のまんなかにある水面に、そっと一雫が落ち、やさしい波紋が広がっていくような
なんとも心地のよい感覚に包まれていた⚪︎

正直、何を感じていたのかは何も思い出せない。
けれど、きっとあのとき、何かを受け取っていたのだろうなと思う。
上高地とは古来、「神降地」と呼ばれていた。
簡単には行けない場所だからこそ、
そこには澄みきったものが、静かに宿っている。
そして、それは、“水”も同じ。
人がなかなか辿り着けない源流には、
静かに、清らかな一雫がある
そこから、すべてがはじまっている𓂃
そんな水景を、ふいに思い出していた。

もしかしたらこの日のわたしもまた、
その“はじまりの一雫”へと静かに還るように
なにかに触れていたのかもしれない。
その一雫が、どんな波紋として広がっていくか
そんな“つづき”を、これからの日々に重ねていこう。
また季節が変わるころに、いきますね。ありがとう。
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