傾心録𓂃 三人目「社会人一年目のわたし」
傾心録𓂃 三人目
-12人のわたしと、心を傾ける旅-
今日、心を傾けて話を聴いたのは、
社会人一年目のわたし。
あの頃のわたしは、人生で初めて
『自分が壊れていく感覚』を味わっていた。
社会人一年目の転機
恩師との別れから氣づいた
「人の生き方に携わるような仕事がしたい」という想いから
大学時代に出逢った人材教育会社へ就職した。
そこは、
1対1で人の成長や可能性に関わる仕事で
まさに理想の場所だった。
実際に受講生でもあったわたし自身も
そこでの學びや出逢いによって、人生が変わった。
だから、今度は
きっかけを与える側として歩めることが
ほんとうに嬉しく
「天職に出逢った」と思っていた。
・
最初は、順調だった。
目の前の人の成長を応援すること
人が変わる瞬間に立ちあえること
感謝されながら、成果も出ていた。
完全歩合制だったので
一般の新卒社会人よりも、給与をもらっていた。
そんな日々に、どこかで調子にのっていた。
入社から半年ほど経った頃、
前代未聞の大きなトラブルを起こしてしまった。
それがきっかけに、
上司や周りの態度は一変した。
怒号。否定。威圧。
そんな毎日のなかで
目の前の人の成長のためではなく、
「怒られないため」
「失敗しないため」
「責められないため」
氣づけば、
そんなふうに仕事をするようになって
働く意味もわからなくなっていた。
天職だと思っていた仕事が
どんどん苦しみに変わっていった。
・
それでも辞められなかった。
「一緒に頑張ろう」と
自分が手を差し伸べたお客様がいたから。
伝えた責任があると思っていたから。
だから耐えた。
借金をしてでも、耐えつづけた。
そしてある朝、
会社へ出社しようとしたとき
身体が動かなくなってしまった。
その瞬間、初めて思った。
「このままじゃ壊れてしまう…」と。
すぐに会社に電話をかけて
退職の意思を伝えると
返ってきた言葉は、
「わかった。」という一言で
あっけなく終わり
なんとも言えない氣持ちになった。
心身の健康も。
身近な家族や友人関係も
お金や仕事も。
自信も、信念も。
当時のわたしが大切にしたかったものを
氣づけば、すべて失っていた。
残ったのは、
大量の時間と、100万円の借金だけだった。
今のわたしが、あの頃のわたしと対話してみた
ねえ。
今だから聴いてみたいんだけど、
あのとき、君は何を失ったのかな?
社会人一年目のわたしは
すこし考えてから、こう答えた。
『たくさんのものを失ってきたけど
“自分(の本心)との繋がり”を失っていたのかも。
自分よりも、誰かのために一生懸命で
自分の心を置いてけぼりにしていた。
あの時、身体が動かなかったのは
そんな自分からの悲鳴であり
“わたしを守ってくれた”のかもなって。』
そっか、そう感じていたんだね。
あのころの君は
まだ知らないだろうけど。
この喪失があったから
人生はもう一度、
大きく動きはじめたんだよ。
「何をするか」よりも先に、
『どう在りたいか』
それからの君は
そんな問いと向き合いことになるんだよ。
今日は、
社会人一年目のわたしと対話した記録。
あの頃の感覚に、心を傾けてみたら、
わたしが本当に大切にしたかったものが見えてきた。
心と日常に、余白を。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
傾心録𓂃
四人目は、“27歳のわたし”
旅はつづく。
この記事へのコメントはありません。